2020年4月から厚生労働省認可の多焦点眼内レンズ手術は「選定療養」で施行されることになりました。
当院でも、選定療養として多焦点眼内レンズ手術を施行しております。
選定療養とは?
選定療養とは、「社会保険に加入している患者さまが、追加費用を負担することで保険適用外の治療を、保険適用の治療と併せて受けることができる医療サービスの一種です。健康保険法で規定されており、保険外併用療養費制度に基づいたサービスです。」
つまり、白内障手術(水晶体再建術)に対しては、保険診療で施行し、多焦点眼内レンズと通常の保険診療で使用する単焦点眼内レンズの差額代金+多焦点眼内レンズ手術に必要な追加検査代金が追加費用ということになります。
当院で使用しております多焦点眼内レンズは厚生労働省で認可を受けている以下の2種類です
PanOptix (ALCON社) | TECNIS Synergy (Johnson&Johnson社) |
---|---|
3焦点眼内レンズ | 2つの回折技術の融合により、瞳孔の大きさに依存せず、連続的な視機能が期待できるとされています。 |
差額費用
乱視矯正不要 | 乱視矯正必要 | |
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PanOptix (ALCON社) | 297,000円(税込) | 330,000円(税込) |
TECNIS Synergy (Johnson&Johnson社) |
多焦点眼内レンズ
白内障などの手術では濁った水晶体を取り除き、代わりに「眼内レンズ」と呼ばれる人工のレンズを入れます。
現在ヨーロッパ及びアメリカでは白内障手術を受ける方の5~15%の方が「多焦点眼内レンズ」を選択しています。
このため、手術後にはいわゆる「老眼」になります。
多焦点眼内レンズの場合、二箇所(遠方と近方)にピントが合うもの、三箇所(遠方・中間・近方)にピントが合うもの、連続的にピントが合うと謳っているものがあります。
現在ヨーロッパ及びアメリカでは白内障手術を受ける方の5~15%の方が「多焦点眼内レンズ」を選択しています。
単焦点眼内レンズとの違い
通常の眼内レンズは「単焦点眼内レンズ」と呼ばれ、遠くか近く(あるいは中間)のどこか一箇所にしか焦点が合いません。このため、手術後にはいわゆる「老眼」になります。
多焦点眼内レンズの場合、二箇所(遠方と近方)にピントが合うもの、三箇所(遠方・中間・近方)にピントが合うもの、連続的にピントが合うと謳っているものがあります。
眼内レンズの種類
見え方の違い
単焦点眼内レンズ
※ピントを遠くにした場合
※ピントを遠くにした場合
遠くはよく見えますが、手元はピントが
合いません。多くの場合老眼鏡が必要です。
単焦点眼内レンズ
※ピントを近くにした場合
※ピントを近くにした場合
手元ははっきり見えますが、遠くは
ピントが合いません。
多焦点眼内レンズ
※ピントを遠くと近くにした場合
※ピントを遠くと近くにした場合
眼鏡をかけなくても遠くはよく見え、
手元の文字も読めます。
多焦点眼内レンズ手術について知って頂きたいこと
★見え方に慣れるまで時間がかかる場合があります。
手術後早期から問題なく見える人と、1週間、1か月と時間が経つにつれて見え方がよくなってくる人がいます。
★コントラスト感度の低下を感じることがあります。
手術後に像がはっきり見えない感じがする。なんとなくぼやけているといったコントラスト低下を感じる場合があるかも知れません。
時間とともにそういった感じは改善することが多く、日常生活に支障をきたすことは稀です。
★夜間のグレア・ハローが気になる場合があります。
暗いところで、強い光を眩しく感じるグレアや光の周囲に輪がかかって見えるハローという現象に気づくことがあります。この現象は時間とともに軽快し、昼間の日常生活に支障をきたすことはありませんが、夜間に車の運転時間が長い場合、
職業上夜間の運転が多い場合は、注意が必要となる場合があります。
★手術の状況で、多焦点眼内レンズを挿入しない方がいい場合があります。
手術前に多焦点眼内レンズを挿入する予定でいても、多焦点レンズの中心がずれたり傾くような場合には、単焦点レンズ挿入に変更する可能性があります。
★術後、予定の屈折度数にならなかったり、乱視が残っているために、裸眼視力がでにくいことがあります。
眼内レンズの度数は、術前の検査により決定しますが、その検査には誤差がでます。誤差と誤差があいまって大きくずれることも稀にあります。
その程度によっては1つの眼鏡を用いて遠く・近くをみて頂くこともあります。
屈折矯正手術で改善する場合は追加手術として行うこともあります。
★後発白内障によって視力が低下することがあります。
これは眼内レンズを包んでいる膜が経過とともに濁ってくるためにおこるものです。レーザーにより改善させることができます。